Rain World 考察ブログ

Rain World の背後にあるストーリーについて解説します。ネタバレ全開のためクリアしてない人は注意

Rain World の世界の成り立ち (Lore of Rain World)

以下は Rain World 公式 Wiki にある項目 Lore of Rain World の抄訳です。

古代文明とボイド流体

太古の昔、古代文明が地上を覆い尽くし、優れた知能をもって地上を制していた。しかしそれほどまでに発展した社会であっても、Great Cycle (輪廻)から逃れることはできず、全ての生物に影響を与え続けていた。生、死、そして再生は環のようにつながっており、何人も真の意味で死ぬことは出来なかった。死は新たな目覚めと直結しており、それが繰り返される。長きに渡る苦しみの繰り返しに詰まり、この環からいかにして抜け出すかが文明の重要課題となっていた。超越と呼ばれる過程である。

Rain World のストーリーが始まるより遥かに昔、宗教的な方法が取られていた。例えば僧侶が自身の欲求を消し去るために慎ましい生活をするといったようなことである。これは Great Cycle から抜け出すための方法として広まっていたが、実際にはこれで超越に成功したという証拠は皆無であった。

そんな中、ボイド流体の発見により事態は一変する。

ある時、古代人達はボイド海と呼ばれるボイド流体でできた海を地底深くで発見する。ボイド流体はありとあらゆるものを融解する性質を持つため直接回収することは困難だったが、ボイド海の表面付近にある岩石には濃度の薄いボイド流体が含まれていた。そのような岩石を集め、不純物を取り除くことで純度の高いボイド流体を回収することができた。

間もなくして、ボイド流体は著しいエネルギー源であることが判明する。ボイド流体には注目が集まり、技術革新が進展し、古代文明はますます力を増していった。

さらなる研究により、ボイド流体は単に物質を融解するだけでなく、物質を現世から取り去る作用もあることが判明した。より濃度の高いボイド流体と、ボイド流体の核心に迫る情報を得てるためにより深く掘削する試みもあったが、設備が壊れたり融解してしまい失敗に終わった。あまりに深く潜りすぎた者は誰一人として帰ってくることがなかった。しかしこのボイド流体の性質は、古代文明が追い求めていた超越と実に合致していた。行った者達が誰も帰ってこなかったということは、ボイド流体には現世への束縛から生物を解放し、Great Cycle の繰り返しを打ち破る作用があるのではないか?古代人はそう期待するようになった。

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Depths 最下部にあるボイド海

しかし、現世から立ち去るためにボイド流体に飛び込むことには危険が伴っていた。ボイド流体には現世から肥大化した自我を消し去る力は無かったのだ。次第に超越しきれなかった存在について恐ろしい話が知られていく。超越しきれなかった古代人は青色と金色に光る巨大な烏賊のような生物になり、世界中に点在することになる。これらの元古代人達は現世と超越後の世界の狭間から半永久的に抜け出せないことに対する後悔と悲哀を嘆いている。

このため、超越のためには自身の持っているものと欲求を全て捨て去り、何もない状態になる必要があると考えられた。古代人たちは再びかつての古風な方法に戻り、欲求と自我を取り去る努力に駆られることになる。しかしこれすらも完璧な方法ではなかったため、イテレータが建設されることになる。

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現世と超越後の世界の狭間に囚われた元古代人たち

イテレーターの建設

古代文明が力を失い、衰退期へと向かい始めたのはこのあたりの時代である。文明衰退のはっきりした理由は分かっていない。

ボイド流体の危険性を伴うことなく超越するための手段が他にあるはずだと考えた古代人達は、自身の技術力を使ってイテレーターと呼ばれるスーパーコンピューターを建設した。イテレーターは人工の知能を持ち、"Great Problem"―Great Cycle から解き放たれるための方法を見つける問題―に立ち向かうために作られた。イテレーターは巨大な設備で非常に大きな動力源を備えていた。それらの目的はボイド流体を使うことなく安全に超越する方法を探すことである。

少なくとも7つのイテレーターが存在することが分かっているが、実際にはもっと多くのイテレーターが存在した可能性がある。

  • Five Pebbles
  • Looks to the Moon
  • Sliver Of Straw
  • Seven Red Suns
  • Chasing Wind
  • Unparalleled Innocence
  • No Significant Harassment

イテレーターは有機物と人工物の組み合わせで構成される半有機コンピューターであり、内部では周辺処理装置として特殊な微生物を用いている。コンピューター内部での代謝作用と再生作用により、電子機器に比べ遥かに複雑な計算を行う事ができる。イテレーター内の電子部品を冷却し有機物で構成された処理装置を正常に保つには莫大な量の冷却水が必要であった。そのためイテレーターは生態系を乱すことになりつつも水辺の近隣に建設され、水蒸気を大気に排出し、その水蒸気はいずれ雨となり再びイテレーターに利用される形となった。このような処理を行うイテレーターが大量に建設された結果、世界全体の生態系は著しく破壊された。空には濃度の高い霧と雲の層が張り巡らされ、それらは定期的に激しい降雨と洪水をもたらした。これが Rain World で現れる激しい雨の正体である。古代人達はこれに対処するために地表を離れ、イテレーターの設備の頂上にあたる部分に巨大で高密度な都市を築き上げた。頂上は雲の層よりも上部にあり、雨の脅威が存在しない場所であった。イテレーターは超越の方法を見つけるという本来の目的以外にも、古代人の都市のために食料、水、物資、そしてボイド流体を定期的に配送する任務も負わされた。

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Five Pebbles 内部

文明の崩壊と Pebbles の暴走

イテレーターの建設後、不幸にも古代文明は消滅・崩壊してしまう。それはイテレーターが Great Problem に対する解を見つけ出す前のことである。文明崩壊の理由は明らかではないが、イテレーターが古代人に物資の配送を十分に行っていなかった可能性や、全ての古代人がボイド流体を使って超越してしまった可能性などが有りうるかもしれない。これにより地上の都市は元の形のまま打ち捨てられることになった。しかしそのような後でもイテレーター達は残されたままであり、ボイド流体無しで超越する方法を探すという任務は依然として続いていた。施設にたまたま迷い込んだ小動物に適切な指示をするのもまた任務の一つであった。イテレーター達は建設時から現在に至るまで Great Problem を解決するためにかなりの年月を費やしたにもかかわらず、何ら大きな進展をを生み出せていない。Silver Of Straw という名のイテレーターだけが何か解を見つけたと主張したが、成功確認が他のイテレーターに伝えられると同時に Silver Of Straw は不幸にも死んでしまった。そのため彼女の見つけた方法は失われたままになってしまった。

他のイテレーターである Five Pebbles は Silver Of Straw の後も解を見つけられないことに苛立ちを感じていた。ある過程で Pebbles は自身の有機物質を感染・変異させてしまい、それにより思考の処理が損なわれていくことになる。自己のシステムの崩壊を食い止めるために彼は通常の何倍もの量の水を汲み上げるようになった。不幸なことにこの時点でこれらの変異体たち*1は自由自在に動き回り、また基本的な知性を持つようになっていたため、これらを破棄することは異常を止めるには不十分であった。 その上、大量の変異した有機物質を地表に廃棄したことにより Garbage Wastes が出来上がり、またそのせいでそこで生存していた生物達は有害な形*2へと変異を遂げることになってしまう。 半ば自暴自棄になりながら Five Pebbles は水を汲み上げ続けた。Pebbles の作業を加速し、また感染を食い止めるために。結果、近隣のイテレーターである Big Sis Moon が本来必要としている水の分まで消費してしまうことになる。 Moon が Pebbles に水の使用を止めるよう説得して失敗した後、Moon は年功権限を利用して強制的に止めることになった。結果、Pebbles は Moon に「君のせいで全てが台無しになった」と告げる。 現在に至るまで Pebbles は通常の4倍もの水を消費し続け、近隣地域に壊滅的な強さの雨をもたらしている。 Big Sis Moon が現在の洪水によって受ける被害は甚大である。Moon の記憶装置は破壊され、 設備は侵食され、そして彼女自身は記憶喪失になっている。ほぼ死んだも同然の状態である。 他の4つのイテレーター達、Seven Red Suns、Chasing Wind、Unparalleled Innocence、そして No Significant Harassment がどうなっているかは謎である。

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Big Sis Moon

弾丸のごとく降り注ぐ苛烈な雨とともに生態系はその後も変化を遂げていった。これが Slugcat を待ち受ける、荒廃した世界の背後にあるストーリーである。

*1:Daddy Long Legs

*2:Brother Long Legs